この世はこんなにも美しかったのか。
2021年10月に発刊された稲田大樹さんの写真集「極彩色の京都―四季の名所めぐり」
A5変型判という小ぶりな写真集に、これほど圧倒されるとは思いませんでした。
TwitterやInstagramの投稿が話題となり、Twitterのフォロワー数は20万人超!という写真家 稲田大樹さん。
この写真集から私は、圧倒的な生命力を感じました。
写真集「極彩色の京都」の魅力
スマホで稲田大樹さんの写真を見たときから、気になっていた写真集「極彩色の京都-四季の名所めぐり」
この本が届いた日、リビングに置いておいただけなのに気づくと家族全員が見ていました。
「きれいだねぇ」
「すごいね」
誰かが感想を聞いたわけでもないのに自然と話題にのぼります。
絵画かと思うほど美しい瞬間をとらえた写真
浮世絵のような佇まいの街
写真を観ていると、美しい自然への畏敬や自然と人の営みの美しさを感じます。
この美しい国に生まれた幸せを味わえる写真集です。
自然という芸術
『極彩色の京都』を撮影した稲田大樹さんは、写真集の巻末でこのように書かれています。
同じ撮影地へ繰り返し何度も行くことによって、道順を把握するだけでなく、季節ごとに一番良い光が入る時間帯や角度なども理解するようになったので、ロケハンがとても楽になりました。
引用:極彩色の京都―四季の名所めぐり
その言葉通り光や角度がすばらしくて、いつの間にか写真の中の風景に引き込まれてしまいます。
そこには、稲田さんの古都「京都」に対する畏敬にも似た感情があるのではと感じずにはいられません。
京都に限らず、壮大な自然や美しい風景に出会うと何か大きなプレゼントをもらったように胸がほんのり温かくなりませんか?
空の色、水の音、木々の枝ぶりや鳥の鳴き声、これらが絶妙に調和している様子には癒されますよね。
芸術を味わうというと美術館や音楽ホールのような環境が必要なのではと感じてしまいます。
でも身近にある美しい自然を眺めていると、芸術作品と出会ったような気持ちになってくるからふしぎです。
芸術と宗教
大本のみ教えの中にこのような御言葉があります。
美によって神を感ずる――これは誰でもはいれる。
引用:『信仰叢話』出口日出麿著
確かに綺麗なものは多くの人の心を打ちますし、なんだかありがたい気持ちにさせてくれますよね。
そのような芸術作品には、表現したい対象に対する畏敬の念があるような気がします。
ことに自然のような人間の力の及ばないほどの大きなものの美しさを見たとき、これを造った何か偉大な存在を思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。
宗教というと堅苦しく聞こえるかもしれません。
でも、もしかしたら古代の人は自然の美しさ、偉大さから神を感じていったのかもしれないと私は想像しています。
芸術と調和
どんなに素晴らしい芸術作品であっても、美術館で観るのと倉庫の中で観るのとでは感動が違いますよね。
名器といわれる茶道具であっても、乱雑に置かれてしまっては台無しです。
一つ一つが素晴らしくても、調和のないところではそのものの素晴らしさが消えてしまいます。
何もむずかしい道理や余計な金のいるような芸術に凝らなくても、そのへんの調度品、あり合わせのものを如何にうまく活かして使うか、美しく調和させるか、いかに自然、人事の風雅、景致を感受し観賞、享楽するかというところに芸術はあるのであります。
天国の美しいのは調和があるからでして、みながチャンとおくところに置かれている、使うところに使われている。
不自然がない。
美というものは一つ一つの美よりは、いろいろなものがたくさん集まって、それが調和しているときの総和の美の方が、より価値が多いのであります。
引用:『信仰叢話』出口日出麿著
芸術は、むずかしく考えなくても味わえるということでしょうか。
そうだとしたら、芸術は生活に密着したものにできますね。
芸術のもたらすもの
芸術というと優れた美術品や音楽といったものが思い起こされます。
しかし暮らしの道具の中にも芸術を感じられるものがあります。
例えば木や竹でできた日用品や工芸品。
その土地で生産されたものを便利に美しく加工する。
そのような道具は生活を便利にするだけでなく、その姿、形に趣があります。
たとえ棚にしまってあっても楽しめますよね。
この頃、質の良いものを必要な分だけ持って、暮らしを楽しまれている方が多くなってきたと感じています。
そんな動画を目にするたび、日々の暮らしがこれほど楽しいものだったのかと気づかされます。
身近にある美しいもの、調和のとれたものを見つけていくこと、大切にしていくことが芸術を楽しむことなのかもしれません。
日々心静かに暮らすことはむずかしいですが、
食器の置き方を工夫してみる
花一輪挿してみる
など小さなことから試してみてもいいですね。
皆さまの生活がますますうるおいのあるものとなりますように。
お読みいただき、ありがとうございます。
ちなみに、『極彩色の京都―四季の名所めぐり』の中の秋と冬の章に大本の神苑の写真が掲載されています。
この機会にご覧いただければ幸いです。
⇓芸術と宗教についてこちらの記事で詳しく解説しております。