「レプリコンワクチン接種の前に」

大本神苑夏

世界で初めて承認

昨年(2023年)11月28日、日本は新型コロナウイルスに対する新しいmRNAワクチン「レプリコンワクチン」(コスタイベ筋注)を世界で初めて承認しました。このワクチンは、人への治験を実施せず、マウス数匹のみでのデータに基づいています。それにもかかわらず、10月1日から高齢者向けの定期接種の製剤として採用されることになりました。一方、他の国々では安全性について慎重な評価が行われており、まだ承認されていません。

ベトナム保健省の「レプリコンワクチン第3相治験報告書」によると、第三相治験で被験者のうち34名が死亡したと報告されていますが、いずれの死亡例も治験薬との因果関係は否定されています。しかし、この情報は積極的に開示されていません。
1~92日目の死亡例は、レプリコン群で8059例中5例(低血糖、膵炎、肺の悪性新生物、咽頭癌転移、COVID-19各1例)、偽薬群で8041例中16例(COVID-19 9例、リンパ節腫脹、肝硬変、肝癌、大動脈解離、肺炎、アシネトバクター性肺炎、敗血性ショック各1例)でした。いずれも治験薬との因果関係は否定されています。92~210日目の死亡例は、レプリコンから偽薬に変更した群で7458例中9例(事故死2例、特定できない死亡2例、急性心筋梗塞、敗血性ショック、外傷、口唇がん/口腔がん、悪性肺新生物各1例)、偽薬からレプリコンに変更した群で7349例中4例(COVID-19 2例、頭蓋脳損傷、脳血管発作各1例)でした。こちらも治験薬との因果関係は否定されています。試験中止者は2013名(12.5%)で、そのうち死亡が1.3%(26名)を占めています。妊娠による試験中止者は22名(1.1%)でした。

レプリコンワクチンは、新型コロナウイルス感染症の予防を目的とした最新技術を用いたワクチンとして注目されています。しかし、現在の科学的評価に基づくと、いくつかの重要な懸念が浮かび上がっています。

レプリコンワクチンは従来に比べ少量接種で済むため、副作用が少ないと謳われていますが、mRNAの自己増幅やスパイクタンパクの産生がどの程度で停止するのか十分にわかっていません。また、レプリコンワクチンが自己複製するため、接種者から非接種者に感染し、ワクチンの成分が取り込まれるのではないかとの懸念もあります。これにより、これまで以上の重篤な健康被害が及ぶ危険性も十分に予想されます。

安全性に関する懸念

レプリコンワクチンは、その革新的な技術ゆえに長期的な安全性データが不足しています。これは、mRNAワクチンの導入時にも見られた問題であり、短期間での開発と承認に伴う安全性への懸念がありました。同様に、レプリコンワクチンについても長期的な副作用や健康への影響についてのデータは十分に揃っておらず、慎重なモニタリングが求められます。

このような背景から、一般社団法人日本看護倫理学会は、新型コロナウイルス感染症予防接種に導入されるレプリコンワクチンへの懸念 自分と周りの人々のためにと題する緊急声明を発表しました。また、大本本部からも、公式HPにて【声明文】「レプリコンワクチンに対する懸念と提言」と題する緊急声明を発表しました。

シェディングのリスク

シェディングとは、ワクチン接種者が周囲の人々に対してワクチン成分や生成されたウイルス成分を放出する現象を指します。この現象により、接種者から非接種者にワクチン成分が感染し、取り込まれることがあります。現在の科学的知見では、mRNAワクチン接種者からのシェディングのリスクは極めて低いとされていますが、レプリコンワクチンについても同様のリスク評価が必要です。特に、免疫力が低下している人々や妊婦に対する影響が懸念されています。

既存の健康被害データ

厚生労働省が公表しているデータによれば、新型コロナワクチン接種後にはアナフィラキシーショックや心筋炎、血栓症などの重篤な副作用が報告されております。

新型コロナワクチンを除く1977年2月以降のすべてのワクチンに関連する予防接種健康被害認定者数は3,522件(1977年2月~2021年12月)で、その中で死亡が認定された件数は151件となっています。一方、新型コロナワクチンについては、2021年2月から2024年11月19日の期間で合計認定数 8,432件件の健康被害が認定され、その中で903件が死亡と認定されています。

インフルエンザワクチンと新型コロナウイルスワクチンに関する予防接種健康被害救済制度のデータを比較した結果、高齢者(65歳以上)を対象とした場合のワクチン接種後の死亡認定数に関して、以下の結論が得られました。

2012年度から2021年度にかけてのインフルエンザワクチンの接種回数は1億7922万1430回であり、この期間中の死亡認定数は4名でした。
一方、新型コロナウイルスワクチンに関しては、2021年4月から2024年3月19日までの接種回数が1億9336万2873回であり、死亡認定数は546名に達しました。
この結果、新型コロナウイルスワクチンにおける死亡認定数は、インフルエンザワクチンに比べて約136倍高いことが明らかとなりました。

これらの数字は、予防接種と健康被害との因果関係が認定された場合にのみカウントされます。厚生労働省の予防接種健康被害救済制度は、接種に係る過失の有無にかかわらず、予防接種の副反応による健康被害を迅速に救済するものであり、その認定にあたっては、第三者により構成される疾病・障害認定審査会により、因果関係に係る審査が行われます。

以上の情報は、公的な発表に基づいており、予防接種による健康被害の全体像を反映しています。しかし、これらの数字はあくまで認定されたケース数であり、実際の被害状況や接種者全体に対する割合など、より詳細な分析や解釈を必要とします。レプリコンワクチンでも同様のリスクが存在する可能性があるため、徹底的な検証と監視が不可欠です。

効果の持続性と変異株への対応 新型コロナウイルスは頻繁に変異を繰り返しており、ワクチンの効果が変異株に対してどれほど持続するかは重要な問題です。mRNAワクチンでも、変異株に対する効果の低下が報告されています。

レプリコンワクチンも変異株に対する効果が不明確であり、これがワクチン接種の有効性を低下させる可能性があります。

スパイク毒性学

スパイク毒性学は、SARS-CoV-2ウイルスのスパイクタンパク質が引き起こす毒性に関する新しい学問分野です。この研究は、新型コロナウイルスワクチンやウイルス由来のスパイクタンパク質の毒性を評価し、その影響を理解することを目的としています。

米国やEUでは、この問題について既に議論が行われていることが報告されています。研究によれば、スパイクタンパク質は血管内皮細胞に損傷を与える可能性があり、これが血栓形成や心血管系の問題を引き起こすリスクがあるとされています。また、スパイクタンパク質が免疫系に影響を与え、過剰な免疫反応を引き起こす可能性も懸念されています。

スパイク毒性学の研究は、現在だけでなく未来の医療にも大きな貢献をする可能性がありますが、その危険性についても十分に理解し、対策を講じることが重要です。

まとめ

レプリコンワクチンの接種に際しては、これらの懸念点を十分に考慮することが必要です。新しいワクチン技術の導入は、感染症予防の新たな希望を提供しますが、その安全性と有効性を慎重に評価することが求められます。

人間の体は本来、生まれながらに持つ自然免疫によって、さまざまな病気に打ち勝つ能力を備えていると考えています。そのため、免疫力を高めるためには、昔から経験的に知られている方法や、正しい食生活、適度な運動、十分な睡眠を心がけることが重要です。私たちは、安全性が確保されていない医薬品は体内に取り入れず、自分の体は自分で守るという強い信念を持つことが大切なことではないでしょうか。

 

東海教区特派宣伝使 前田 茂太