「ワカヒメギミノミコト」

梅松苑もみじ祭り

出口なお大本開祖のご神霊

「ワカヒメギミノミコト」は、出口なお大本開祖の神霊で大本の教典では「稚姫君命」「稚姫岐美命」「若姫君尊」「稚日女岐美尊」「若日女君命」などの漢字があてられ登場しています。

「ワカヒメギミノミコト」は、国常立尊直系の分霊で、初発の国祖神政時代(神代のエルサレム)にご活躍されています。その後、後身として、35万年前の太古に「初稚姫」として丹波国に生誕し三五教の宣伝使としてご躍します。
そして、天保7年(1837)に出口なお開祖として生誕し、大本を開教しました。

 

 

稚姫君命登天之像
出口王仁三郎画 稚姫君命登天之像

 

出口なお開祖、天界での使命

現界で神さまのみ心に従い正しい生活を送った人々は、死後に各自が相応の天国の集団に加わることになります。その結果、天国には非常に多くの団体が存在します。しかし、天国の住人たちは自分たちの団体以外に天国が存在することを知らず、天国の団体は独立しています。
この状況は、現界は霊界を写した世界、現世(うつしよ)であるという言葉にもあるとおり、現在の世界に写し出されています。様々な宗教や国家が分裂し、世界中で紛争が絶えない状態が続いています。
地上世界のこの問題を解決するためには、幽界の救済ももちろんのこと、全ての天国の団体を統合し全体を調和させる必要があります。

「霊界物語」には、次のように示されています。
「天国の組織は、最高天国が上、中、下、三段に区画され、中間天国がまた上、中、下、三段に区画され、最下層の天国もまた三段に区画されている。各段の天国は、個々の団体を持って構成され、愛善の徳と智慧証覚の度合いにより、幾百ともなく個々に分立し、到底これを明瞭に計算することはできない。また、霊国も同様に区画され、信と智の善徳や、智慧証覚の度合いによって、霊国が三段に大別され、また個々に分立して、数え切れないほどの団体が作られている。」(『霊界物語』第四十七巻)

そこで、出口なお開祖は、昇天後、若姫君命の御魂と一体となって、大本の教えを伝える宣伝使を派遣して個々に分裂している天国の各団体を教化、統一し、最奥天国を新設する神業に就きました。天界を統治したら再び地上で立替えのご神業に掛かると示されています。

『いづのめしんゆ』には次のとおり示されています。
「新つの松の五六七(みろく)の神政(よ)に致すについては、大出口直は若姫君命の御魂と一つになりて、上天(くにがえ)致して、天の大方を修め、また地へも下りてこの地の上の立替えに掛かるなり」

 

綾部の地名と機織り

綾部の名称は、古代豪族の漢氏にちなんでおり、江戸時代初期までは丹波国漢部郷と呼ばれていました。漢氏は5世紀末に朝鮮半島南端から日本に移住した有力な豪族であり、彼らは高級な絹織物である「錦」「綾」と呼ばれる紋様を織る技術を持っていました。漢氏が住んでいた地域は「漢部」と呼ばれ、後に綾部と呼ばれるようになったと伝えられています。
また、古代には由良川(和知川)氾濫流域に自生の桑が繁茂していたため、丹波の「漢部」(綾部)は綾絹の生産地であったと考えられています。

大本の教典、「いづのめしんゆ」には、「機の始まり丹波の綾部、あやの神戸にあるわいなと、昔から歌が遺してありたのは、今度の世界の立替え立直しについての譬えであるぞよ。」とあり、
「おほもとしんゆ」第3巻では、「機織の初まり、綾部が元ぞよ。神戸村(今の本宮神宮也)が錦の元ぞよ。この大本は、錦の機の経綸であるぞよ。」と述べられており、

綾部は機織りの神さまであるワカヒメギミノミコトと深いつながりを持つ地域でした。

香良洲神社ご祭神

神代の昔、「稚姫岐美命」の再生とされる「初稚姫」の住居跡に「琉の宝玉」をご神体として生田神社が建てられました(『霊界物語』第22巻と第33巻に記載されています)。

その後、つぎの伝説に基づいて香良洲神社にお祀りされました。

神代の昔、天照大神は、素盞嗚尊(すさのおのみこと)と稚姫君命(わかひめぎみのみこと)との関係を疑い、稚姫君命を天教山(神代の富士山)から、はるか遠方の高麗の国(朝鮮)へと追いやられました。二神は※天津罪を犯したものとして生木を割くようにして引き裂かれました。

稚姫君命は、素盞嗚尊を慕い烏の羽裏に恋文をしたため素盞嗚尊に送られます。しかし、その烏は素盞嗚尊の元までたどり着けず、海を渡った末に力尽きて死んでしまいます。烏が力尽きたその地には現在、香良洲神社(三重県津市)が建立されています。香良洲神社のご祭神は、出口なお開祖のご精霊である稚日女命(わかひるめのみこと)です。

稚姫君命は、恋文の返事が来ないので意を決し自転倒島(神代の日本)へと向かいます。一方、素盞嗚尊は稚姫君命を慕って朝鮮に渡られました。
二神は行き違いすれ違ったまま出会うことなく、稚姫君命は遂に紀州の和歌の浦で亡くなり、玉津島神社に祀られました。

※天津罪は一般的には、素盞嗚尊(すさのおのみこと)などが高天原(たかまがはら)で犯した罪を指し農耕や祭祀を妨害する行為も該当します。大本ではさらに、天然自然に与えられている水力、火力、電磁力、地物、砿物、山物、動植物等の利用開発を怠ることも天津罪に該当します。

香良洲神社の社伝によれば、約1400年前の第二十九代欽明天皇の時代に創建されたとされています。伊勢の海の浜洲で夜な夜な神の火が見え、地元の人々が恐れ騒ぎ立てていました。
そこで、一志直青木という人物が神の心を尋ねるために浜辺に出て神の啓示を乞いました。
すると、
「吾は生田の稚日女神 である。姉神の在す神風伊勢のこの地に鎮ま りたい。」とのお告げがあり、それを受けて生田神社より勧請し社を造営して奉斎されたとされています。

また、生田神社の社伝によると、神功皇后が外征から凱旋された際、務古の港で「吾は活田長峡の国に鎮る」と神の啓示を受け、海上五十狭茅(いさちのすくね)に祀られたと伝えられています。

 

大本のお示し

「世の元の根本の誠の日本魂と申すものは、今の人民の申して居るような、浅い狭い日本魂でないぞよ。この日本魂の性来が、日本の人民には授けて在るなれど、薩張りがいこく魂に混ぜりて居るから、一寸でも混ぜりの有る御魂は、種には成らんぞよ。種に致す御魂が、世の元から隠して在りての、今度の経綸であるぞよ。斯う云う醜しき世が参りて、日本魂の誠の種が断れると云う事が、世の元から能く解りて居るから、二度目の世の根の日本魂の種に致す為に、稚日女君の尊の御魂が、神の代一代、地の底へ落として在りたのであるぞよ。世が潰れて、立たぬようになるという事が、大神の眼からは能く解りて居る故に、天に御一柱、地に一柱、末代変わりの無い御種が蔵してありたので在るぞよ。日本魂の種になる御魂は、ひととおりの身魂では成れんので在るぞよ。」(『おほもとしんゆ』第四巻)

「昔の根本(もと)の初まりのミロク様が、此(こ)の世の御先祖様であるぞよ。斯(こ)の世が一平らに泥海の折からの事を、直々(じきじき)の御血筋の、変性男子に書かせるぞよ。
斯の世の御先祖様が、地の泥海の中に御出来(おでき)なされたなり、霊能大神(ひのおおかみ)どのも同じ泥海の中で御出来為されたのであるぞよ。口や書(て)では早いなれど、中々の永い間の事であるぞよ
それから直(じき)の御血筋を御戴(おいただ)き成されて、地の世界を創造(こしらえ)なさるまでの、独身での永い御艱難と申すものは、如何(どのい)にも解る事では無い、人民では到底見当は取れは致さんぞよ。……
大出口直には、明治二十五年からのように思うて居るなれど、直の霊魂は此の方の霊魂が這入(はい)りて居りて、半分の霊魂が天照大神(みろくさま)のお妹御にして在りて、死に変わり生き代わり、苦労艱難、悔し残念を今に致して居る身魂であるぞよ。直に二十五年から此の方が守護致したように、皆のものが思うて居るなれど、産から守護して居りたのじゃぞよ。」(『おほもとしんゆ』第二巻)

「世の元の根本の誠の日本魂(やまとだましい)と申すものは、今の人民の申して居るような、浅い狭い日本魂でないぞよ。この日本魂の性来が、日本の人民には授けて在るなれど、薩張りがいこく魂に混ぜりて居るから、一寸(ちょっと)でも混ぜりの有る御魂は、種には成らんぞよ。種に致す御魂が、世の元から隠して在りての、今度の経綸(しぐみ)であるぞよ。
斯う云う醜しき世が参りて、日本魂の誠の種が断(き)れると云う事が、世の元から能く解りて居るから、二度目の世の根の日本魂の種に致す為に、稚日女君の尊の御魂が、神の代一代、地の底へ落として在りたのであるぞよ。世が潰れて、立たぬようになるという事が、大神の眼からは能く解りて居る故に、天に御一柱(おひとり)、地に一柱(ひとり)、末代変わりの無い御種(たね)が蔵(かく)してありたので在るぞよ。日本魂の種になる御魂は、ひととおりの身魂では成れんので在るぞよ。」(『おほもとしんゆ』第四巻)

「艮の金神は、地球(よ)の元を創造(こしらえ)た変性男子の身魂であるから、元の肉体の其のままで、末代国を構わな成らん生神であるぞよ。その国常立尊の御魂の半分が変化(へんげ)て、変性男子の身魂となりて居るのが、勿体(もったい)なくも天照皇太神宮殿の御妹子(いもうとご)の稚日女岐美尊であるぞよ。
斯(こ)の世を拵(こしら)えるには、末代の事の、前後(あとさき)の能く見え透く御魂で無い事には、末代の世は続かんぞよ。是(これ)だけ世がくれたら、斯(こ)ういう世に成る、其(そ)の先はドウ成るという事が判らねば、一日先の判らぬ如(よ)うな今の政治の行(や)り方では、到底誠の事は出来んから、日の本の神国は治まりは致さんぞよ。
人も一代、世も一代と申す事があるが、今度は、神の世が一代くれた、末法の終尾(しまい)の瀬戸際であるぞよ。
斯(こ)の終りの世が来るのが、神界には能く分かりて居りての、大望(たいもう)な世の立替え建直しの経綸(しぐみ)が為てあるのじゃぞよ。何事も時節であるから、斯(こ)んな惨い世に成るのも、艮の金神が世に落とされたのも、世に上がるのも、昔から定まりた因縁事であるぞよ。時節が参りたら、ドンナ事業(こと)でも完成(でけ)るぞよ。」(『おほもとしんゆ』第四巻)

「『天照大御神、忌服屋に坐して、神御衣織らしめ給ふ』…(中略)ここで機を織るといふことは、世界の経綸といふことであります。経と緯の仕組をしていただいておったのであります。…機を織っていた稚比売命…」(『霊界物語』第十二巻 出口王仁三郎著

若比婁女神の仕組の時は来て錦の御旗織り初めにけり
七夕の神 鶴山に天降りして綾と錦のはたを織らすも
(『霊界物語』第六巻 出口王仁三郎著 )

此物語の主人公たる初稚姫は再び天の命を受け、地上に降誕して大本開祖となり(『霊界物語』第五十巻 出口王仁三郎著)

初稚姫の神霊は再び大神の意思を奉戴し、地上に降臨し、大予言者となつて綾の聖地に現はれ、其純朴無垢なる記憶と想念を通じて、天来の福音を或は筆に或は口に伝達し‥殆ど三十年に及んだ』(『霊界物語』第五十巻 出口王仁三郎著)

神様が人間姿となつて御活動になつたその始は、国大立命、稚桜姫命が最初であり、稚桜姫命は日月の精を吸引し、国祖の神が気吹によつて生れたまひ、国大立命は月の精より生れ出でたまうた人間姿の神様である(『霊界物語』第二巻 出口王仁三郎著)

教祖国照姫命に懸らせ玉ふた神様は、宇宙の創造者、天地の祖神大国常立尊でありまして(中略)心身共に浄化したる教祖は稚姫君命の精霊を宿され、(中略)主の神様は厳霊稚姫君命の御精霊に其神格をみたされ、地上の神人たる清浄無垢の霊身三五の教祖の肉体を終局点として来らせ玉ひ、間接内流の形式に仍つて、大地の修理固成の神業を三界の衆生に対し洽く伝達すべく現はれ玉ふたのであります。(『霊界物語』入蒙記 出口王仁三郎著)

大本の神諭は、国祖大国常立尊、厳霊と顕現し、稚姫君命、国武彦命等の精霊に其神格を充し、さうして天人の団体に籍を有する予言者なる出口開祖の肉体に来し、大神の直々の御教を伝達された(『霊界物語』第四十八巻 出口王仁三郎著)

その根元を開かれたのが変性男子の身魂である。すなはち大国常立尊と稚姫君命と、惟神真道弥広大出口国直霊主命の三神一体の厳の御魂の大活動であります(『神霊界』大正九年一月十五日号)

国照姫は地上に肉体を以て生存すること八十余年、(中略)昇天し、其聖霊は稚姫君命と復帰し、天界に於て神政を行ひ、其遺骸は天王平の奥津城に永眠してゐる(『霊界物語』入蒙記 出口王仁三郎著)

現世のあらゆる苦患を受け、厳の御霊は奥津城に隠れ給ひ、稚姫君の御霊と共に天津国に上りまし、地の上の総てを憐れみ恵ませ給ひ(『霊界物語』第六十二巻 出口王仁三郎著)

大神は是非なく、茲に予言者なる媒介天人を設けて之を地上に下し、其神人をもつて天界の根底及び基礎となし、又之によつて天界と人間とを和合せしめ、地上をして天国同様の国土となさしめ給ふべく、甚深なる経綸を行はせたまうたのである。(『霊界物語』第四十八巻 出口王仁三郎著)

アヤベの言霊

アヤベのアの言霊は天なり、海なり、自然也、丸めるなり。ヤの言霊は文なり、和なり、家なり、水火の両面を主るなり。以上の言霊より見るも、アの霊は天の天照大神の直教を天下に宣伝し、海の内外を問はず、天地自然に帰へらしめ、億兆の蒼生を平和円満に治め玉ふ国土を、常永に立て行くべき言霊であります。ヤの言霊は文明の文である。即ち日月を文なすと云ふ意義であり、世界を言向和し、和ぎ睦び、世界に精神的大家族制度を確立し、水火の両面を主る大本大神、火系厳の御魂大神、水系瑞之御魂神の顕現さるべき言霊であります。ベの言霊は経、緯との意義で、棚機姫命(三大歴)が世界経綸の神機を織らせ玉ふ霊地である。又た何処までも限り無く澎張する言霊であるから、此地に発祥したる事は悉く成就する言霊である。是を見てもアヤベを世の大本と、神界より神定め玉ふた御主旨が判然するのであります。(『神霊界』大正8年8月1日号「随筆」)

東海教区特派宣伝使 前田茂太